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2015.07.23 【報告】
第500回関西文学散歩
~大阪は、ミステリーの発祥地!!~
2015年7月12日(日)終了 <天気:晴れ 参加人数56名>
観音坂で
英語学校跡

 ミステリー作品の発祥の地が大阪であると、はじめて知った。テキストに挙げられている黒岩涙香の名。これも、黒岩重吾は知っていたが、涙香はまったく未知の作家だった。興味津々で集合場所へ向かったが、朝から盛夏の日差し…。もう覚悟の上と、ズボンのベルトを締め直した。

 今日は、講師のお話はコース最後の国際交流センターで聞くということで、「暑いので、早い目に着くようにしましょう」の声に促されて歩き出す。といっても、最初の「舎密局跡」での講師の説明は熱が入り、次のポイント・大阪英語学校跡の付近は空間の余裕が無いので、この説明もと思っていたより長かった。「舎密」は〝科学〟の明治時代の言葉だそうで、さしずめ大阪科学学校。それが大阪英語学校となり、第三高等学校に組織替え。第三高等学校は京都だとばかり思っていたが、これも認識不足で、大阪から京都へと移ったのだそうだ。

 そして高知県生まれの黒岩涙香は、大阪英語学校で学び、外国のミステリー小説の翻訳を手がけ、自身も創作を発表した。それで、大阪がミステリーの発祥地よいうことになるのだそうだ。江戸時代には井原西鶴の「本朝桜陰比事」という法廷ものの元祖というべき作品もあると教えられた、西鶴-涙香につづくミステリーの系譜は、高村薫や東野圭吾などの現代作家へと続き…、最新では第34回小説推理新人賞を受賞した加瀬政弘のデビュー作「天満明神池」がある。

 コースを辿り、ポイントごとに短い説明(長い時もあったが)を聞いて、国際交流センターへ。クーラーのよく効いた会議室での、前述の詳しい講演は、終わるころにはぽたぽたの汗も引き、これはたいそう有難かった。「天満明神池」は短編集だが、その一作の舞台がここから南の六万体辺りだという。今日は足を伸ばせなかったが、またいつか訪ねてみたい。最後に、桃谷駅までの道筋のお屋敷街が、東野圭吾「白夜行」の物語終盤の舞台。事件の鍵を握る登場人物雪穂が住んでいた町である。今日は、学校の変遷の謎が解き明かされ、最後に「白夜行」の謎が解明された面白い謎解き散歩であった。

 

テキスト:東野圭吾「白夜行」、加瀬政広「天満明星池」、黒岩涙香「日本探偵小説全集(第1巻)」

コース:地下鉄「谷町4丁目」駅…舎密局(せいみきょく)跡…大阪英語学校跡…月山貞一(刀工)旧居跡…太閤背割下水…直木三十五文学碑…観音坂…高津宮…大阪国際交流センター<講演>…「白夜行」の舞台…JR「桃谷」駅(解散)

<報告:田添浩一>

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