関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

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2015.11.24 【報告】
第504回関西文学散歩
~辛い恋の似合う駅『阪急電車』と『郷愁』の舞台~
2015年11月8日(日)終了 <天気:雨 参加人数43名>
講演風景
小浜宿北木戸口にて

 朝からの雨でした。いつもなら駅頭で受付をしているのに、姿が…? どうしたのかと思えば雨の中、向いのビルの庇をお借りしての受付でした。何でも、駅頭での受付を阪急電鉄に断られたとか。いつも受付が済むと駅頭を外れて出発時刻まで余所で待機しているのに、無慈悲な雨に、無慈悲な電鉄、とちょっと憂鬱な気分…。

 でも、雨にもめげずに40人余りの参集者とともに出発、宝塚市立図書館前庭の向かい側には、線路に沿って色とりどりの花々を植え込んだ花壇があり、私も少し心が和んできました。今日の作家の一人、有川浩さんはちょうど『図書館戦争』も映画館で上映中で、売れっ子の女性作家だそうです。テキストを一読してみたら、小林(おばやし)駅が、友達に彼氏を取られてしまって悲嘆にくれる主人公が、ウェディングドレスのような真っ白なドレスで結婚式に出席の後に自己嫌悪で降り立つという設定で使われていて、集合駅を納得しました。

 そんな、あてつけの勇気は私には無いなと思いながら読了しましたが、作品全体は今津線の電車内で出会った様々な状景が爽やかで、意外にすらすらと読み終えることができました。会館での昼食後、有川さんのこと、テキストのことなどの紹介、そして小浜宿や織田作之助「郷愁」についての講演を高橋先生からお聞きしました。

 小浜宿は、宝塚に歌劇場が出来る随分前、毫摂寺の寺内町として成立し、豊臣秀吉も有馬温泉への道中に立ち寄ったという古い宿場町。阪神淡路大震災の被害にも遭われたそうですが、見事に復興して旧趣を再現されていました。資料館を見学の後、大工道具館である「とんかち館」では、町の方々が沢山お出迎えして下さり、帰りは木戸跡まで見送って下さって感激しました。加えて、旧和田家住宅では学芸員の方と、和田家の現在のご当主のお出迎え。「心が温かくなった気がするね」と同道の方とささやき合いながら道を進みました。和田さんは、そこからなお、織田作之助の旧居・笹田家跡までご案内して下さり、重ねてのご親切に集合時の憂鬱さはどこへ飛んで行ったやら…。この報告を書くまで、すっかり忘れていたような事でした。

 

テキスト:有川浩『阪急電車』、織田作之助『郷愁』

コース:小林駅-末広中央公園・宝塚市立勤労市民センター(講演・昼食)─小浜宿(こはまじゅく) [首地蔵─毫摂寺(ごうしょうじ)─小浜宿資料館─高札場―「とんかち館」など]─旧米谷村・旧和田家住宅─織田作之助旧居・笹田家跡─清荒神駅<解散>

<報告:岩井よおこ>

織田作之助賞
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