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2016.10.17 【報告】
第515回関西文学散歩
~キトラ古墳へ、ミステリアスな古代史遊歩~
2016年10月9日(日)終了 <天気:曇り後晴れ 参加人数42名>
土佐街道を歩く
四神の広場にて

『日本霊異記上巻-巻26話』に、「大皇后の天皇の御代に、百済の禅師あり、名を多羅常といふ。高市郡の部内の法器山寺(観覚寺)に住み……」とあり、今日はこの観覚寺遺跡からキトラ古墳へ向かうという行程だ。その遺跡が出た高市町を南北に縦断する土佐街道は、折から「かかし祭り」の最中で駅頭、通り、家々の前でかかし人形が歓迎のポーズである。街道北側突き当りの小嶋寺には立ち寄れなかったが、この、坂上田村麻呂ゆかりで京都清水寺の前身の寺が、平安初期に「観覚寺」だったという話を講師の田中先生から聞いて、その遺跡跡へ行く。

 2005年9月14日の発掘で、この遺跡から韓国式の床暖房設備「オンドル」が備わった建物跡と砂利敷き道路跡が見つかったという。説明を聞きながら、古代、ここに朝鮮から先進文化を携えて渡来した人々が暮らしていたのだと感慨を深くして、キトラ古墳へと向かった。

 今日の集合駅「壺阪山駅」では近鉄電車が受付用テーブルも用意してくれ、我々はこれから飛鳥駅へ向かって歩くわけだが、キトラ古墳での混雑具合を想うと設定された北向きコースで正解だったと思う。朝からの小雨も出発時には幸運にも曇り空になり、件の古墳へ着く頃には薄日が差していた。地上階の「壁画体験館」は予約制で見学不可と思っていたが「予約のキャンセルがあれば入館できる筈…」のスタッフ女史の言葉に誘われ聞いてみた。ラッキーだった。11:15の分が空いています。この調子で、見学希望者の殆どが、壁画体験館も合わせて見学したようだ。残った時間で、地階の展示室見学と昼食を済ませ「キトラの田んぼ」「五穀の畑」、そして檜隅寺跡・於美阿志神社へと歩を進める。この間の風景は8年前に歩いた時とすっかり変わった。舗装整備され歩きやすくなったが、その分、本来の古代里山風景は失われたように思えた。

 キトラ古墳の被葬者は誰なのか?―が本日のテーマで、弓削皇子・忍壁皇子の2人の来歴が紹介された。現時点では妥当な推測のようだが、黒岩重吾が存命であれば、当時この周辺で権力を持っていて、於美阿志神社に祀られている阿部氏の何某の可能性を示唆するかもしれないと、ふと思った。

 

テキスト:黒岩重吾『古代史への旅』(講談社文庫)、『古事記』『日本書紀』『日本霊異記』

コース:近鉄・壺坂山駅…観覚寺遺跡…キトラ古墳と古墳観賞広場…「キトラ古墳壁画体験館・四神の館」…展望台…四神の広場(昼食予定)…キトラの田んぼ…五穀の畑…檜隈寺(ひのくまでら)跡・於美阿志(おみあし)神社…近鉄・飛鳥駅

<報告:田淵浩一>

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