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2017.06.08 【報告】
第521回関西文学散歩
~林芙美子の琵琶湖疎水遊覧、蹴上から山科へ~
2017年4月9日(日)終了 <天気:曇り 参加人数32名>

 地下鉄蹴上駅から地上へ上がると、これこそ満開、と言わんばかりの桜の饗宴で、思わず嬌声が上がりました。ですが、その景色はひとまず後にして、京都国際交流センターの会場へ向かいます。『めし』や『放浪記』で有名な林芙美子が、昭和14年(1939)頃にこの辺りへやって来て、琵琶湖疏水のほとりを歩いたと「田舎がえり」という随筆に書いていて、これから、そんな話を会場で聞くためです。

 林は、その10年ぐらい前に疏水べりを歩き、山科からインクラインを小さな定期船の屋形船で下った印象が忘れられず、ふたたび「卯の花がしだれ咲き躑躅の蕾が膨らむ季節」に再訪したのだそうです。随筆「田舎がえり」はその時の様子を描き、林は(疏水の)「流れに添ってぽくぽく歩いてみた」のだそうです。「ぽくぽく歩く」…良い響きですね。澄んだ疏水の速い流れ、その流れに映る青葉影の中を、ほっこりした歩調、浮き浮きした気分、童心に還ったような無邪気な心持ちで歩く。それらの心情が綯い交ぜになったのが「ぽくぽく歩く」でしょうか。波乱の人生を行き過ぎ、ほっとしている林芙美子のひとときが思い浮かびます。

 でも、私が何より驚いたのは、当時は疏水を行き来する定期船があったということでした。きっと、高瀬船のような喫水の浅い小舟が往き来していたのでしょうが、もし今も運行しているならば、是非、乗ってみたいと思うのは、私だけではないでしょう。集合案内に、27年春から十石舟による「疏水下り」が試行的に復活している、と紹介されていました。いまはツーリスト業者向けの試験運行のようですが、山科、あるいは大津から、いくつかの洞門を潜りながら蹴上までの舟下りをやってみたいものです。それも、春爛漫の季節に…。ふと夢を見た今日の一日でした。

 

テキスト:林芙美子「田舎がえり」(『林芙美子随筆集』:岩波文庫に所収)

コース:地下鉄蹴上駅<集合>-蹴上インクライン-京都国際交流センター(講演後、昼食、庭園特別見学)-南禅寺水路閣-蹴上駅=<地下鉄乗車>=御陵駅-洞門石額「仁以山悦為水歓歎」-東山自然公園緑地-天智天皇陵 北側・参拝はなし)-山科駅

<報告:岩井よおこ>

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