こちらは終了致しました。
「まだ都が奈良の平城京にあったころ、怨霊たちの雄たけびはすさまじくなまなましく、…<中略>…幽鬼の噂を人なみに恐れながら、心の奥の奥では、形あるものとしてその存在を、嘉智子はどうしても信じられずにいた。…」(『檀林皇后私譜』より)
後に嵯峨天皇の皇后となり、崩御の後に檀林皇后(だんりんこうごう)と諡号された橘嘉智子(たちばなのかちこ)。彼女は、類い無き美しい女人で仏教に深く帰依し、人々に「菩提心」を喚起するため自らの遺体は埋葬せず路傍に放置せよと遺言、帷子ノ辻で腐乱し白骨化してゆく変化の過程を絵師に描かせたとも伝わりますが、その前半生の物語は平城京に蔓延る怨霊たちに悩まされる日々でした。
しかし、彼女はその聡明さで、「怨霊とは、それ自体〝在る〟ものではなく、恨まれる側がみずからの心に作った翳りではあるまいか。うしろめたさが疑心を生み、疑心が暗鬼を闇に描く……」(『檀林皇后私譜』より)と想起しました。
井上皇后、他戸親王、そして早良親王(後に崇道天皇と追称、歴代天皇には数えられない)の霊に怯える桓武天皇は、平城京東端に彼らの霊を鎮めて「神」とすることにし、平安時代初期に「御霊会」が本格化しました。
今回の文学散歩は、『檀林皇后私譜』に描かれたテーマ「今日ただ今のこの〝生〟をいかに生かすか、生きるか」の背景になった<怨霊から御霊へ>の経緯を辿りながら奈良町を歩きます。
*どなたでも事前の申込みナシに自由に参加できます。
集合日時 | 平成29年12月10日(日) 午前10時 |
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集合場所 | JR大和路線「奈良」駅・改札口 |
参加費 | 会員=1,000円 /会員同伴の18歳以下は700円(証明書提示) [資料代、ご志納、会場費、保険料等を含む] 一般(会員外)=1,300円/同伴の18歳以下は1,000円(証明書提示) [資料代、ご志納、会場費、保険料等を含む] ※「京終」駅-「帯解」駅の片道交通費140円は別途ご用意下さい。 |
その他 | 雨天も実施。 *午前7時に大雨洪水警報発表の際は中止 お弁当、お茶を携行してください。 参加者の不測の事故につきましては、応急の処置以外の責任は負いかねます。 |