こちらは終了致しました。
谷崎潤一郎の『吉野葛』は、奈良県吉野が舞台だと思われがちですが、谷崎と思しき語り手と、その取材旅行に付き合っている友人津村の<母恋い>のエピソードが作品の主題になっており、その主な舞台は「平野の中に横たわっている丘陵の信太山(しのだやま)」(「信太妻の話」)です。
津村の記憶の中にある母の俤(おもかげ)はぼんやりしていますが、生田流筝曲「狐噲(こんかい)」の曲想と重なり、「恋しくば訪ね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」と歌を障子に書き置いて消えてしまう母狐の姿を彷彿させます。
その狐の子が安部清明で、子がはるばる、母に会いに行く物語は「葛の葉」伝説で知られ、やがて「信太妻」となり、浄瑠璃にも歌舞伎「蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)」にもなって人口に膾炙します。そして谷崎は、津村に「自分の母を恋うる気持は唯漠然たる「未知の女性」に対する憧憬、──つまり少年期の恋愛の萌芽と関係がありはしないか」(『吉野葛』より)、と語らせています。津村の母を恋うる気持ちは、そして谷崎の美しかった母を懐かしむ気持ちとも重なるのです。
熊野古道沿いの信太山には「葛の葉」「信太妻」『吉野葛』の舞台があり、今回の文学散歩では、信太森葛葉稲荷神社、聖神社のお手水とも呼ばれた鏡池、熊野古道の篠田王子などを訪ねます。母と子の情愛、葛の葉伝説、信太妻伝説の地など、平安時代より和歌に詠まれた「信太の森」を歩きます。
*どなたでも事前の申込みナシに自由に参加できます。
集合日時 | 2019年6月9日(日) 午前10時 |
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集合場所 | JR阪和線「北信太」駅・西改札口前 |
参加費 | 会員=900円 /会員同伴の中学生以下は600円(証明書提示) [御志納、会場使用料・資料代、保険料等を含む] 一般(会員外)=1,200円/同伴の中学生以下は900円(証明書提示) [御志納、会場使用料・資料代、保険料等を含む] |
その他 | 雨天も実施。 *午前7時に大雨洪水警報発表の際は中止 お弁当、お茶を携行してください。 参加者の不測の事故につきましては、応急の処置以外の責任は負いかねます。 |