こちらは終了致しました。

　今月の作家・垣根涼介氏は、平成12年(2000)のデビュー。「午前三時のルースター」でサントリーミステリー大賞を受賞した、まだ気鋭の作家です。しかし平成16年(2004)には「ワイルド・ソウル」で大藪春彦賞・吉川英治新人文学賞・日本推理作家協会賞と、史上初の三冠受賞を果たし、2005年には「君たちに明日はない」というサラリーマン小説で山本周五郎賞を受賞され、ジャンルを越えた作品を発表して注目されました。

　そして今度は、歴史小説に挑戦、今回のテキスト「光秀の定理」では確率論を取り入れたユニークな手法、2016年「室町無頼」で破天荒な人物たちを描いて第156回直木賞候補、2018年織田信長の内面を抉ったシステム論を応用して描いた「信長の原理」で2019年の第160回直木賞候補になられました。

「光秀の定理」の物語進行役は、愚息と名乗る破戒僧と、武芸者の玉縄新九郎という架空の人物。その前に現れたのが、細川藤孝の屋敷に居候している明智光秀で、室町将軍足利氏から離れて織田信長に仕官する光秀が描かれます。そこで二人は光秀に寄り添い、群雄割拠の世の中を傍観し、勝者と敗者の定理を読み解こうとするのですが……。本日は、室町時代～戦国時代を背景に魑魅魍魎がうごめいていた京都で、二人の架空の隠者と、時代に翻弄され、時代と運命をともにした実在の人物・明智光秀の前半生を辿ります。

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