関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

ホーム > 関西文学散歩 カルチャーウォーキング > 報告 > 詳細
2023.04.10 【報告】
第576回
飛鳥への入り口・海石榴市(つばいち)で、上田秋成「雨月物語」を読む
2023年1月8日(日)終了 <岩井よおこ記>
平等寺と猫
三輪駅で集合

天気:晴れ 参加人数:33名

 集合駅のJRまほろば線「三輪駅」は、三輪大社への参詣駅でもある。今日は、その三輪大社参拝のために、下りホーム側に臨時改札口が設けられていて、駅に降り立った人達は殆どそちらの方へ進んでいく。「文学散歩はこちらです~」と、向かい側のホームから声が掛かり、私は跨線橋を渡って、上りホーム側にある西改札口へと急いだ。コロナで、3年ぶりの文学散歩への参加だろうか。懐かしいお顔ぶれで久しぶりの邂逅、旧交を抱き合って温めた。もちろん女性方だけとです。

 以前、この三輪駅で集合した時のテーマは近松の「冥途の飛脚」だった。「奈良の旅籠屋三輪の茶屋、五日、三日、夜を明し、二十日あまりに、四十両、使い果して二分残る。鐘も霞むや初瀬山、余所に見捨ての親里の、新口村に着きにけるが~~」という、この文句で節回しも出てくる「三輪の茶屋」跡を訪ねたときだった。ページを繰ってみると、2020年6月とあり、同じ時に池宮彰一郎さんの『島津奔る』で、本日のコースの最初の訪問先、平等寺を訪れている。(2020年6月の報告を参照ください)

 平等寺――相変わらず本堂の柱には「島津公の旗」がはためいている。老住職さんもご健在で、ご本堂でお話をしてくださった。住職は、息子さんに譲ったそうで、いまは隠居のご身分らしい。お話の後、境内を一巡。この境内、あるいは門前を「山の辺の道」が北側に鎮座する三輪大社から通じている。今回はその道を南側へと進む。木下闇の<山の辺>らしい道を、落ち葉を踏みしだきながら「金屋の石仏」へと辿った。「石仏」は、以前は路傍の筈だったが、今は収蔵庫に納められていて、その正面に喜多美術館がある。<山の辺の道ハイキング>では、なかなか立ち寄らない美術館だ。それを見越してか、文学散歩では、入館するという。良い見学の機会になった。

 この美術館は1988年に、隣接する大庄屋の主・喜多才治郎さんのコレクションをもとに開設された。ルノワ-ル、ゴッホ、キリコ、佐伯祐三、藤田嗣治から、ラウシェンバーグ、ウォーホル。平成6年にはヨーゼフ ・ ボイス、マルセル ・ デュシャンの作品を展示する別館を設けている。作家の赤瀬川原平氏は、「創立者である才治郎氏は大正の生れだった。喜多家は300年もつづいた大庄屋だが、才治郎氏は若いころから病弱で仕事にもつけなかった。人と交わることも苦手なので、いつの間にか独りで絵を見て楽しむようになったという。買い求めた最初の絵が佐伯祐三の「食料品店」だというのは、聞いていてこちらの気持にもぴたりと来た。それを欲しいと思う気持が、その油絵一点から反射して伝わってくる」と書き記している、とレジュメにあった。

 

 ≪続きは上記PDFファイルをご覧ください≫

 

テキスト:上田秋成「蛇性の淫―『雨月物語』所収」 (講談社学術文庫)

コース:JR「三輪」駅…<山の辺の道>…平等寺…金屋の石仏…喜多美術館…金屋海石榴市(椿市跡)…仏教伝来の碑…金屋河川敷公園・飾り馬…道中レリーフ…JR桜井駅・近鉄桜井駅(解散)

<報告:岩井よおこ>

 

織田作之助賞
織田作之助青春賞
文學回廊
入会のご案内はこちら
PDFの閲覧はAdobe Readerを
ダウンロード(無償)してください。
ページの先頭へ