台風襲来の予報も外れて朝から青空。今回のテーマは八尾を心の故郷とした今東光で、今年4月30日には八尾図書館内に今東光資料館が新しくオープンしました。現在東光の作品の多くは絶版となっているそうですが、彼の生涯には情熱が迸っており、東光に光を当てる試みがされていることは素晴らしいなあと思います。
最初に講師の伊東健先生から東光についてのとても丁寧で分かり易いお話があり、東光の厚みのある人柄がよく理解できました。東光は根っからのアウトサイダーらしく、東京帝大に学生でもないのにモグリこんで漢文の講義を聴講し、東大系の同人誌「新思潮」にも名を連ね、独学でありながら大変博学な人であったようです。
さて新しい資料館は、シックな色調の垢抜けた一室でした。限られたスペースの中に東光ならではの粋、そして河内への愛が詰まっていました。入ると奥には東光の出した単行本が壁一面に並び、東光の作品のバラエティーと豪華さが溢れています。今はなかなか見られない闘鶏の実際の動画や、「本の樹」という素敵なネーミングの柱があり、つい見入ってしまいました。
資料館を出て、今回のテキスト『小説 河内風土記』にも描かれているスポットを歩きました。終盤に訪れた天台院は、昭和26年に東光が比叡山より特命を受け住職となった寺院です。檀家の人々と信頼関係を築き、彼等を通して八尾の風土を見聞きした東光の八尾の拠点といえます。ご仏殿の脇に数多くの作品を生み出したスペースが残っていました。すぐ近くに、八尾の祭礼や草相撲の行われる八坂神社や山本八幡宮もあり、まさしく東光が八尾の人々と親しく交わった場所なのだと感慨深かったです。
解散後、有志で訪ねた御野縣主神社で、蒲団太鼓のお御輿がまさに本殿前から町へ繰り出していくところに会遇!真っ赤な蒲団を重ねた風体は威容を誇り、若い人や子どもも多く境内は生き生きとしていました。皆さん「すごいタイミング!」と感嘆しきり。最後に思いがけないプレゼントがありました。
テキスト:今東光『悪名』・『小説 河内風土記』
コース:近鉄八尾駅…八尾市立図書館(講演)・今東光資料館…本町第二公園(昼食)…大信寺…常光
寺…天台院…玉串川と説明板…八坂神社…山本八幡宮…河内山本駅
<報告:木元美咲>