関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

ホーム > 関西文学散歩 カルチャーウォーキング > 報告 > 詳細
2014.07.16 【報告】
第489回関西文学散歩
~没後25年・藤沢桓夫の船場を訪ねて~
2014年7月13日(日)終了 <天気:曇一時雨 参加人数69名>
『春琴抄』文学碑にて
旧文楽座があった御霊神社

 集合駅へ向かう途中に雨が降り出し、「いやー、かなんなぁ」と思っていたら、出発時刻になって地下通路から地上へ出てみると降りやんでいる。「ラッキー」。船場・本町の日頃の塵埃を洗い流して、心なしか堺筋に面したビルもキレイになった気がする。通りを南へ向かうと、黒塗りの堂々とした日本家屋がビル群の中で異様さを誇っていた。この重要文化財に指定されている小西家住宅は現役で、㈱コニシのボンド興産本社屋として使われているという。谷崎潤一郎の『春琴抄』や『細雪』はこの屋敷と暮らしぶりがモデルになり、映画のリサーチにも使われたと、講師の高橋先生から説明があった。「春琴が佐助に手を引かれ、お琴の稽古に通ったという場面がありますが、当時は玄関先に大八車などが並べられていて映画のように広い道ではなかった」とも。

 さらに南下して、淡路町の「泊園書院跡」へ。今日の主役、藤沢桓夫にゆかり深い私塾の跡だ。今年は没後25年で、今日はちょうど生誕101年目(1903年7月12日生まれ)でもあるという。出発時の地下通路で、高橋先生が「♪紫けむる新雪の峰ふり仰ぐこのこころ…」と映画『新雪』主題歌の一節を歌われたが、他に13作の小説が映画になり、懐かしそうに青春時代を思い出している参加者もおられるようだ。ただ、藤澤東畡、南岳、黄鵠、黄坡と4代、140年は続いたという塾跡を、この石柱のみで偲ぶというのは何とも寂しい思いだ。

 歩を戻して少彦名神社は通称「神農さん」で大阪人には親しまれている薬の神様。鳥居前に『春琴抄』の文学碑が建てられており、「春琴、ほんとうの名は鵙屋琴、大阪道修町の薬種商の生れで…」という作品冒頭の文章が思い出される。ここから、昭和20年の空襲まで境内に旧文楽座があったという御霊神社、詩人で児童文学者の百田宗治の文学碑や新町九軒桜堤跡の碑などがある新町公園、そして新町演舞場跡へと向かった。その演舞場の旧姿を残していた㈱大阪屋の建物は、近々撤去される予定になっているらしく残念だ。

 今日は、幾人かの作家や作品に縁のある場所を訪ねてのウォーキングで、昼食後に第2部、藤沢桓夫没後25年・生誕100年を記念する講演会、映画会が開催される市立中央図書館会場へ合流した。

 

テキスト:藤沢桓夫『花粉』・『茶人』・『大阪自叙伝』など

コース:北浜駅…旧小西家住宅…少彦名神社…泊園書院跡…御霊神社…新町北公園…土佐稲荷神社…大阪市立中央図書館「藤沢桓夫のモダン大阪展」・5階ホール(講演と映画会)

<報告:岩井よおこ>

織田作之助賞
織田作之助青春賞
文學回廊
入会のご案内はこちら
PDFの閲覧はAdobe Readerを
ダウンロード(無償)してください。
ページの先頭へ