関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

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2015.10.22 【報告】
第503回関西文学散歩
~「源氏物語」の世界は今、「ともだち同盟」の舞台に~
2015年10月11日(日)終了 <天気:曇り晴れ 参加人数68名>
JR須磨駅前の海岸
サーフボードを抱えた道真さん

「淡路島かよふ千鳥の鳴く声にいく夜寝覚めぬ須磨の関守」。淡路島…と聞くと、『小倉百人一首』でもお馴染みの歌を口ずさんでしまうのですが、JR須磨駅2階コンコースの南側はすぐ瀬戸内海。その向こうに淡路島、と報告したいところ、この日はあいにくの曇り空で島影も見えず残念でした。でも、東西に広がる海原と、波打ち際に群れる飛沫は都会には無い光景で、出発までの皆さんの待機時間を長閑に和ませてくれているようでした。

 山陽道沿いの関所跡を伝える須磨関守神社が本日の最初のポイントで、謡曲「弦上(玄象)」の舞台と伝わる村上帝社に沿った道を神社へと向かいました。えっ、こんなに狭いの? 関所跡は、不破の関跡で見たようにもっと広い筈ですが…。そんな思いを察せられたのか、講師の先生が、この辺りから次に向かう現光寺辺りまで、関の外郭が広がっていたのだろうと思います、と説明されました。その現光寺は別名を「源氏寺」といい、物語上の人物、光源氏のモデルとも、また実作者という説もある左大臣源高明が、大宰府への途次、この地にしばし留まったと伝えられているそうで、参道入口の大きな石碑に「源氏寺」と力強く彫られ、石碑の裏側には「須磨巻」の一節が刻まれています。

 松尾芭蕉は『笈の小文』の旅で須磨・明石を辿り、この寺を訪ねて「見渡せばながむれば見れば須磨の秋」と、有名な三句切れの句を詠みました。足を留めたのは陽春4月のことなので、「須磨の秋」は、秋の寂しさに心を重ねていた光源氏に、芭蕉が気持を寄せたものでしょう、という講師の説明がことさらに納得できました。

 綱敷八幡宮本殿の右側には、サーフボードを抱えた道真さん(菅原道真を模した像)が立っていて、「波乗り祈願像」という説明文がありました。祈願すれば、時勢の波に乗り夢がかなうそうです。『ともだち同盟』に描かれた須磨は、やはり今日歩いたような阪神淡路大震災後の風景で、このサーフボードを抱えた道真さんが物語に関わって登場していなかったのは、発表時にはまだ建立されていなかったのかしら? ちょっと残念に思いました。

 

テキスト:『源氏物語-須磨巻』、森田季節『ともだち同盟』

コース:須磨駅—関守稲荷神社-現光寺(源氏物語碑・芭蕉句碑など)-網敷天満宮-須磨海浜公園
-須磨海浜水族館(自由入館:中解散)-鷹取駅<解散>

<報告:岩井よおこ>

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