関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

ホーム > 関西文学散歩 カルチャーウォーキング > 報告 > 詳細
2020.09.07 【報告】
第558回
~「十三峠」を越えて業平が歩いた道筋で~
2020年8月9日(日)終了 <田淵浩一記>
高安山駅
気象レーダー観測所

天気:晴れ 参加人数:49名

 新型コロナウィルスのおかげで、4月12日に行われるはずだった今回の文学散歩は、今日まで延期となった。その事情については、ホームページの報告(4/12分)に詳しいが、8月の「信貴山口」駅は、朝からすでに暑かった。これが4月なら、爽やかな風も吹き、高安山から生駒山への稜線歩きも格好のハイキングだろうなと思いながら、〝寅〟をデザインしたケーブルに乗り込んだ。誰かが「このケーブルはタイガースを意匠にしたんか」「ちゃうちゃう、信貴山朝護孫寺の参詣道やから〝信貴山の寅〟や」と解説してくれている。

 団体乗車なので出札はフリーパスである。これから高安山のハイキングコースへ向かう。トイレを済ませ、再集合して、山道に入った。まずは天智天皇の高安城址の碑。気象レーダー観測所の横に碑はあったが、講師の解説によると、実際にはどこにあったのかは分からないそうだ。途中、切通しを抜けたところで、「ここを右折すると、道沿いの一画で古代のものと思われる高安城の倉庫跡が見つかっているようです」と説明が追加された。新羅がよほど脅威だったのだろう、遠く離れたこの山に見張りの城を備えていたのだ。おかげで備えあれば憂いなし。「白村江の戦い」の火の粉を、倭国は回避した。

 さて、信貴生駒スカイラインの道に出た。その道に沿って「近畿自然歩道・生駒縦走道」が伸びている。スカイラインは危険なので、区切りロープを跨いで自然歩道を歩く。が、どうしても車道を通らねばならない区間もあり、係の人たちが注意を促している。途中、立石越えを過ぎたところに車も駐車できる休憩所があり、木陰にテーブルとベンチが設けられていた。今日はここで昼食。みな、思い思いに席を占める。参加者の一人が足を挫いたか、腰に違和感があるかで、もう歩けないらしい。係の人がスカイラインを通行する車を無理やり停め、何やら頼んでいる。そうして件の彼は、無事、同乗させて貰っていた。最寄りの駅まで乗せてもらうらしい。十三峠まであと一息の地点で、さぞかし残念であったろう。

「伊勢物語」には、業平が自宅のある天理から、河内高安の女性の所へ通ったという話が描かれており、その業平の通った道が「業平道」、すなわち十三峠を越えるこの道だという。この話を土台にして、世阿弥が能「井筒」次いで「高安」を書き、さらに近松門左衛門が「井筒業平河内通(いづつなりひらかわちがよい)」を書いて話を増幅させたのだそうだ。

 

 ≪全文は上記PDFファイルをご覧ください≫

 

テキスト:在原業平『伊勢物語』、『近松全集・第12巻』

コース:「信貴山口」駅─<ケーブル>―ケーブル高安山駅―天智天皇の高安城跡―立石越(休憩)―十三峠(石仏など)―水吞地蔵尊―神立茶屋辻─玉祖神社―八尾市立歴史民俗資料館―近鉄「服部川」駅

<報告:田淵浩一>

織田作之助賞
織田作之助青春賞
文學回廊
入会のご案内はこちら
PDFの閲覧はAdobe Readerを
ダウンロード(無償)してください。
ページの先頭へ