関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

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2023.07.28 【報告】
第582回
「赤い靴、履いてみたかったの」/有吉佐和子と南方熊楠
2023年7月9日(日)終了 <田原由美子記>
和歌山市民図書館 入口
和歌山市民図書館

天気:曇りのち雨 参加人数:24名

 青磁色した紀の川をながめながら「美(う)っついのう」「美(う)っついのし」とやわらかな和歌山弁で交される祖母・豊乃と孫娘・花の会話は私達読者を物語の中に引き込んでいく。和歌山を代表する作家の一人、有吉佐和子は和歌山で生まれるが、4歳の時に東京に転居。更に6歳の時、銀行員の父の赴任によりジャワ(インドネシア)に移り、8歳で一時帰国。10歳で本格的に日本で暮すようになる。外国での生活の中、日本語の活字を求めて父の書棚にある大人向けの本をも読みふけったそうだ。外国で暮していく中で、日本という国を客観的に眺めることになり、日本でずっと育った子供とは違った感覚を持つことになったことも考えられる。また、戦時中には和歌山に疎開し祖母との生活は伝統への関心など多大な影響を与えたようだ。そして、和歌山を舞台にした作品『紀ノ川』『有田川』『日高川』の川三部作をはじめ、『華岡青洲の妻』など数多く残している。

 7月9日、カルチャーウォークとしてはやや遠出の南海線和歌山市駅に集合。参加人数24名。今回の講師の恩田雅和氏のご案内で駅の東隣にある和歌山市民図書館を訪れた。1階には蔦屋書店とスターバックスカフェ、2階から4階までが図書館で充実した内容である。4階には未来をになう子供のための書籍や、リラックスして読書できるスペースを広くとってある。うらやましいかぎりだ。

 屋上テラスで恩田さんのお話を聞く時間を持った。和歌山放送に勤務されているころから、地域寄席「紀の寄席」やラジオ番組「紀の国寄席」と落語に造詣が深く、天満天神繁昌亭2代目支配人として、要請されて和歌山放送を退社。繁昌亭を定年まで勤められ、現在はアドバイザーとして活躍されておられる。2022年からは有吉佐和子記念館の初代館長に就任。2023年2月に発刊された恩田さんのご著書『落語×文学―作家寄席集め』を拝読しました。

 

 ≪続きは上記PDFファイルをご覧ください≫

 

テキスト:有吉佐和子『紀ノ川』(講談社文庫)・『非色』(河出文庫)、恩田雅和『落語×文学~作家寄席集め』(彩流社)

コース:「和歌山市」駅…市民図書館(有吉佐和子文庫)…南方熊楠胸像(生家跡)…寄合橋…世界一統酒造(南方熊楠案内板)…有吉佐和子記念館…海善寺…水門吹上神社…西岸寺の板碑…汀公園・和歌山城(遠望)…「和歌山市」駅

<報告:田原由美子>

 

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