関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

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2014.05.22 【報告】
第487回関西文学散歩
~愛の逃避行、生誕130年を迎えた竹久夢二の京都時代~
2014年5月11日(日)終了 <天気:晴れ 参加人数60名>
京都府立図書館前にて
粟田口近くにて

 1884年生まれの竹久夢二。よくあちこちに旅をしたという夢二ゆかりの地では、出身地である岡山県邑久郡や岡山市内をはじめとし、石川県湯湧温泉、群馬県伊香保温泉、そして東京などで生誕130年を記念する催しが開かれていると聞く。畿内では無いのかと残念に思っていたが、京都でこの文学散歩があると知った。

 売れっ子になったものの、画家としては認められない夢二の煩悶は、京都で救われたようだ。初めて京都府立図書館で開いた「第1回夢二作品展覧会」(大正元年)は、隣の勧業館で開催中だった「文展」の入場者数をはるかに凌いだという。いささか溜飲が下がったのでないだろうか。図書館のエントランスに掲示されている写真は、その6年後の「竹久夢抒情画展覧会」の時のもの。夢二の隣には彼の最愛の人、彦乃の姿もある。

 彦乃の父が、16歳も年上で妻と3人の子供がいる夢二との交際を阻止しようとしたのは、親としてしごく当然のことだろう。しかし古今東西、いつの世も障害があればある程、燃え上がるのが愛という火種だ。おまけに、結核に冒され臥せがちの彦乃だ。二人の間で愛しさが激しく募ったのも愛の理というものだろう。

 講演を聞いた後、二人が暮らした、いわば「愛の巣」へ。その家は二年坂の北入口辺りで、二年坂途中の寓居跡碑がある二階家は(1階が夢二グッズも販売する「港屋」)、彦乃が上京する前に夢二が二男・不二彦と暮らしていた家だそうだ。その隣には、夢二と彦乃がよくお汁粉を食べに通ったという「かさぎ屋」がいまも当時の建物のまま営業していて趣きがある。

 最後に訪れた「五龍閣」は武田五一設計の登録有形文化財の建物で、ゆどうふの「順正」の所有。1階カフェの内壁にはずらっと夢二の絵。そして、普段は上がれない2階ホールで、「順正」と夢二の関係の話などを聞いた。清水坂は観光客でごった返しているが、この一角は静かだった。カフェでゆっくり、夢二の世界に浸りながら熱いコーヒーを飲んで帰ることにした。

 

テキスト:竹久夢二歌集『山へよする』、夢二自伝小説・画集『出帆』、三田英彬『評伝 竹久夢二』

コース:神宮丸太町駅…京都教育文化会館(講演)…京都府立図書館…円山公園…高台寺南門脇夢二寓居跡…二年坂夢二寓居跡の碑…「かさぎ屋」…「五龍閣」(解散)…バス停「清水前」

<報告:田添浩一>

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