関西文学散歩 カルチャーウォーキング 詳細

ホーム > 関西文学散歩 カルチャーウォーキング > 報告 > 詳細
2014.03.18 【報告】
第485回関西文学散歩
~堺の丘陵地帯の二つの巨大ミステリー~
2014年3月9日(日)終了 <天気:晴れ 参加人数54名>
土塔の説明を聞く
沿道の枝垂れ梅に思わず…

 今回は、テキストにミステリー作家の東野圭吾さんが採り上げられ、楽しみにして出掛けた。普段は利用しない沿線なので時間に余裕を持たせ、「深井駅」へは集合時間の小一時間前に着いてしまった。僕と同様の人たちか、すでに20名程が受付を済ませている。

 東野氏の出身大学、大阪府立大学は今日の行程の最後に設定されている。出発の合図で、まずは行基が造立したという「土塔」の話を、中文化会館で講師の井渓先生からお聞きする。集合案内に紹介されていた奈良高畑にある「頭塔」は、以前、見学したことがあり、よく似たものだろうと思っていたが、その史跡公園に着いて驚いた。形が違う、規模が違う。奈良の頭塔は一辺が30mぐらい、髙さは10mぐらいだったかと思うが、土塔は資料によれば一辺56.1m、高さ8.6mだが形状が異なるからか、周囲に空間が大きくとられているためか、平べったくゆったりとしたピラミッド型であった。同じような仏塔遺跡は日本に現在3例しかなく、先ほど話に聞いた三つ目の岡山県赤磐郡内の熊山遺跡にも、いつか見に行ってみたいと触手がそそられる。

 土塔は、公園から車道を隔てた北側の大野寺に建てられたものだという。当寺は行基建立四十九院の一つに挙げられており、いまは宝形の本堂と庫裡、そして山門を残すのみだが、創建当初は史跡公園の南側に広がる大野池までをも含んだ広い境域だったそうだ。普段は非公開とお聞きしたが、本日はご本尊の観音様の拝観も許され、土塔に葺かれていた瓦も見せていただけた。その瓦に刻まれた名前は、塔建立のための寄進者だという。祈りのこもったものなのだ。

 府立大学への道すがらの住宅からは、枝垂れ梅が桃色の花房をたわわに付け、家の中から道路へとたっぷりと枝を下げていた。春だ。参加者は立ち止まり、その梅と記念撮影。

 いよいよ大学西門へ到着。すぐの広場でしばし、作家と作品の話を聞き、東野圭吾の「容疑者Xシリーズ」の主人公に因んで「ガリレオの小径」と名付けられている府大池の周遊道、そして学生時代に主将を務めていたというアーチェリー場へも足を伸ばした。日曜日でさすがに学生さんらしき姿はちらほらだが、広いキャンパスで、30年程前の僕の学生時代が蘇ってきた。

 

テキスト:東野圭吾『容疑者Xの献身』、千田稔『天平の僧行基』

コース:泉北高速「深井」駅…堺市中文化会館(講演)…野々宮神社…水賀池…土塔史跡公園…大野寺…大阪府立大学[ガリレオの小径・アーチェリー部など]…白鷺公園(希望者のみ)…南海「白鷺」駅

<報告:田添浩一>

織田作之助賞
織田作之助青春賞
文學回廊
入会のご案内はこちら
PDFの閲覧はAdobe Readerを
ダウンロード(無償)してください。
ページの先頭へ