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2021.12.21 【報告】
第565回
~高畑にて、志賀直哉邸を訪問した小林多喜二~
2021年12月12日(日)終了 <岩井よおこ記>
JR奈良駅前
奈良公園の鹿

天気:晴れ 参加人数:51名

 行楽・観光で訪れる<古都>といえば、京都、奈良、鎌倉が、その代表的な観光地として挙げられるが、志賀直哉は随筆「奈良」で、「奈良公園は日本で一番美しい公園だと思う」とし、暗に、京都の寺社の庭園を「よくある箱庭趣味によってゆがめられて……特にこせこせした築山や引きずってきてすえつけた岩石などの……」(随筆「奈良」より)と記しているそうだ。私は、若い時分は京都に憧れたものだが、年を取るにつれ、奈良を訪れる事が多くなった。何だか落ち着くのである。とくに、本日の文学散歩のコースに設定されている大乗院庭園~奈良公園~春日大社参道を回り込んで高畑の志賀邸へと続く道は、お気に入りの散歩コースである。何度も通っている道なのだが、今日は「志賀直哉邸を訪問した小林多喜二」のタイトルに惹かれた。あの、プロレタリア作家の代表のような小林多喜二が、自然主義文学の白樺派の巨匠である志賀直哉を訪問していたのか? 奇妙な取り合わせである。

 JR奈良駅を予定時刻に出発した一行52名は、「今日は<奈良マラソン>が開かれていますので……」という注意喚起とともに駅前広場に。信号待ちの間、石灯籠の脇に建つ「平城京大極殿跡」の石碑に気付いた。「えー、こんなところに大極殿跡?」と幾人かが声を発している。私も???が付いた。しかしよく見ると「平城京大極殿跡」の後に「是拠西乾二十丁」と小さな字で添え刻がある。納得。しかし紛らわしい。ここから、三条通りをまっすぐ、猿沢池へとまずは向かった。

 猿沢池といえば「采女伝説」だろう。帝の寵愛を受けられなくなった采女が、悲しみのあまりこの池に身を投げた、という伝説は知っていた。しかし解説された、脇に鎮座する采女神社がその池に背を向けて鎮座している、というのは初めて聞く話であった。それを、しかと確かめて猿沢池を北側に巡った。「ならまちセンター」まえの広場で、<居合い>のデモンストレーションやっていて、しばし、参加者全員の足がとまる。一人の若い男性が、若い女性たちの前で、技を披露しているのだ。なかなか凛々しく、格好良い姿だった。ここから不審ヶ辻子(ふしんがづし)町を通って奈良ホテルに向かうのが近道である。

 

 ≪全文は上記PDFファイルをご覧ください≫

 

テキスト:志賀直哉『友への手紙』(創元社/現在絶版)、尾崎一雄『あの日この日』(講談社文庫)、志賀直哉「奈良」(『志賀直哉随筆集』(岩波文庫)より)

コース:「奈良」駅=大乗院庭園文化館…荒池…春日大社・一の鳥居…参道…鹿苑…馬酔木の森(下の禰宜道)…高畑志賀直哉旧居…「破石」バス停(解散・自由散会)…徒歩で、JR奈良駅または近鉄奈良駅

<報告:岩井よおこ>

志賀直哉旧邸ホームページ

 

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