天気:雨 参加人数:28名
室生口大野に降り立った時は曇り空であった。天気予報は午後から雨マーク。駅の下の広場で横井先生の一声が始まらんとするあたりから降り始め、今日の講師の田中先生が話しをされる頃には、傘の花が一斉に開いていた。やはり今日は一日雨模様なのであろうか。そのためなのだろう、参加者が極めて少ない。
最初に向かった先は、初瀬街道を西(大阪方向)に5分ほどの太神宮常夜灯だ。伊勢神宮に向かう道の常夜灯は「太神宮」が彫り込まれているとのことだ。安政年間に建てられ、日暮れが早まる時期の旅人や夜も走る飛脚には「安心・安全」のよりどころだったに違いない。
この先で線路を北に潜り、ショートカットした線路沿いの小道を行くこと15分。再び初瀬街道に入った。雨は小降りになっていた。
道は、いきなり急な峠道。「海老坂峠」。海老のように背中を丸めて上るのでそう呼ばれているとのことだ。路面が石畳だったら雨で滑る心配があったが、幸い所々、コンクリや土道であった。やがて、小さなお堂が右手に現れた。「北向地蔵像」だ。1枚岩に刻まれた地蔵尊は南北朝時代のものと推定され、背面にも彫りかけの石仏がある。
曲がりくねった道を進むと三本松の集落に差し掛かる。本居宣長の『菅笠日記』にも出てくる宿場街である。どの家にも「屋号」を書いた50㌢ぐらいの板が玄関先に掲げてある。それは初めて見る光景だ。もっとも田中先生から指摘が無ければ見過ごしていたであろう。
家並みがなくなると、右手に棚田が広がった。そして、その下には時折、近鉄電車が走り、少し離れ並行して国道が走っている。向こうの谷間には霧がかかり、新緑が一層優しい緑色に映える。田植えをしたばかりの水面には小雨が降り注ぎ、五穀豊穣の祈りを叶えてくれるような情景である。
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テキスト:本居宣長『菅笠日記』(和泉書院)、村井康彦・所京子など共著『斎王の道』(向陽書房)
コース:近鉄「室生口大野」駅―初瀬街道・太神宮常夜灯―海老坂・北向地蔵堂―三本松―琴引院長命寺―白鳥神社―安産寺(地蔵菩薩像特別公開)―海神社―道の駅「宇陀路室生」<解散>―近鉄三本松駅
<報告:石元英雄>