天気:晴れ 参加人数43名
今年の日本の秋は、某女の立ち上げた政党のドタバタ劇が耳目を集めた。彼ら、彼女らが織り成す人間模様を、僕は面白おかしく見つめていた。このうさんくさい人々の言動に辟易していた時、日本生まれの英国の作家カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞というビッグニュースが飛び込んできた。この知らせは新党に関する連日の報道をマスコミから消し去ってくれ、痛快であった。
『日の名残り』『わたしを離さないで』『遠い山なみの光』『忘れられた巨人』などが代表作である。授賞理由は、――人と世界のつながりという幻想の下に口を開けた暗い深淵を、感情豊かに訴える作品群で暴いてきた――という。
折りも折り、11月のカルチャーウォークは、日本人最初のノーベル文学賞受賞者、川端康成の『古都』を読んでのウォークである。これ以上のグッドタイミングがあろうか。
『古都』は、川端康成の長編小説。京都各地の名所や旧蹟、年中行事を織り込みながら、捨子であったが京の呉服商の一人娘として美しく成長した千重子が、自分にまったく瓜二つの村娘苗子に偶然出会う。お互いにひかれながらも、環境の違いから一緒に暮らせず、別れて行くという姉妹の数奇な運命が軸となって描かれている。文庫本の解説で、文芸評論家の山本健吉は――作者は美しいヒロインを、あるいはヒロイン姉妹を描こうとしたか、京都の風物を描こうとしたか、どちらが主で、どちらが従か、実はよくわからないのだ。この美しい一卵双生児の姉妹の交わりがたい運命を描くのに京都の風土が必要だったのか、あるいは逆に、京都の風土、風物の引き立て役としてこの二人の姉妹はあるのか。私の考えはどちらかというと、後者の方に傾いている。――と。
ちなみに横井先生は、この考えに痛烈に反論している。
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テキスト:川端康成『古都』(新潮文庫)、カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』(早川文庫)
コース:地下鉄「北山」駅…京都府立植物園【園内散策:北山門…半木神社…宿根ガーデン…並木道…観覧温室(自由見学)…正門】…鴨川左岸…上賀茂社家町(伝統的建造物保存地区)の町並み…地下鉄「北山駅」<解散>
<報告:老家文雄>