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2020.07.28 【報告】
第557回(JR559)
~猪名寺廃寺と法道上人空鉢伝説の謎~
2020年7月12日(日)終了 <石元英雄記>
猪名寺廃寺跡
猪名川(藻川)沿いを歩く

天気:曇りのち晴れ 参加人数:49名

■尼崎、梅雨・・・
 尼崎のこの地(猪名寺や田能)の名前は50年も前から知っていながら、足を運んだことがない。実際に行ってみれば、きっと何か印象深いことを学ばせて頂けるのでは……と思い参加させて頂いた。
 梅雨明けを望むべくもなく、雨の中を歩くかと覚悟をしていたが、曇り空から陽光が時折り指してくる中を、藻川に沿って歩き猪名川の堤防に立ち、古代人に詠われた広大な「稲野(猪名野)の笹原」の光景に思いを馳せていると、涼風が顔をなでてくれるのである。じっとりとした暑さもなく、絶好の散歩日和。きっと皆さんの日頃の行いがいいのだ。

■まず、猪名寺廃寺跡に向かう
 比較的古い民家と、外壁が眩しいほどの白壁の新築住宅が混ざり合った中、時に人ひとりがやっとの道を辿り行く。車が余り来ないか、全く車が通れない道を案内して頂いているのだ。横井先生に大感謝。どうしてこのような道を見つけておられるか不思議でもある。
 緑生い茂る小高い公園に着いた。「佐璞(さぼくが)丘(おか)・猪名寺廃寺跡」である。直径2mもあるかと思われる塔の基壇を目の当たりにして飛鳥時代の壮大な古代寺院跡とのことを納得だ。
 このお寺は大化元年、孝徳天皇から寺領を賜ったインド僧・法道上人が開基だといわれている。法道上人は、空鉢(くはつ)仙人とも呼ばれ、播磨国の数多くの寺院に所縁があるとも言われた僧。彼の托鉢は空を飛ぶという伝説がある。横井先生から、鎌倉時代成立の『宇治拾遺物語』の中の、蔵ごと米俵が鉢に乗って飛んで行ったという「信濃国の聖のこと」の話しを伺い、法道上人空鉢の謎をなぞるような心地になった。

■農業公園で昼食
 昼食は藻川を渡り、尼崎市立農業公園でとった。この公園は猪名川本流と、西に分流している藻川との中州となった北端部分にある。平安朝、「猪名の笹原」から「橘御園」へと発展し、この辺りの人々は柑橘類や花菖蒲などの観賞植物を栽培し、王侯貴族の屋敷に献納していたと伝えられ、その記憶を後世にも伝承すべくこの公園は開設されたのである。
 花菖蒲の時期はすぎていたのは残念であるが、ひまわりが見頃を迎えていて、昼のひとときに彩りを添えると共に、夏の強さを匂わせているのだった。

 

 ≪全文は上記PDFファイルをご覧ください≫

 

テキスト:町田康訳『宇治拾遺物語』(河出書房新社:池澤夏樹編集「日本文学全集」巻8)、伊東玉美訳・編『宇治拾遺物語』(角川ソフィア文庫)

コース:猪名寺駅―法園寺-猪名寺廃寺跡―佐璞丘公園―尼崎市立農業公園―田能遺跡・田能資料館・覺圓寺―田能バス停(解散)…JR「猪名寺」駅

<報告:石元英雄>

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